蜂蜜、ハチミツアレルギーについて、、、下記サイトから転載。
Journal of Allergy and Clinical Immunology 97:
65-73, (1996)
Key Words : アレルギー/蜂蜜/IgE 結合阻害/ミツバチの頭部/蜂毒
ミツバチが蜜を集める過程で,花粉が原料に混入してくる.10
gの蜂蜜には20から10万個の花粉が含まれており,それらは,蜂蜜がつくられる間もアレルギー性を保持する.この原料蜜は蜜蜂の巣内で蜂の顎下腺や咽頭から分泌される酵素が加わりより甘い蜂蜜に変わる.Hofer
らは,食物アレルギー患者173 名の
2.3%が蜂蜜アレルギーであったと報告している.しかし,蜂蜜摂取によるアレルギーについての情報は限られている.蜂蜜中のアレルゲンについての論議は1957年に始まった.Birnbaumらは,ヒマワリ蜂蜜,
ヒマワリ花粉そしてセロリの間に RAST で交叉性を認めた. 蜂蜜アレルギーは花粉によるものとされてきたが Helbling
らは,蜂の産生するタンパクと花粉由来のタンパクの双方が蜂蜜アレルギーに関係していることと,
蜂蜜と蜂産生物に交差反応性が認められたことを報告した.
著者らは, イムノブロッテイングと IgE 結合阻害とを行って,
蜂蜜と蜂毒の間で交差反応性を示すタンパクについて,
蜂蜜のアレルゲンを特定する目的で行った.
蜂蜜アレルギーは全身アレルギー反応を起す例もまれではない. 著者らの患者では,
23例中11例(48%)が少量の蜂蜜でアナフィラキシーが起こった.しかも,蜂蜜はチョコレートやキャンディ等に含まれているので油断ができない.蜂蜜のアレルゲンを特定するために23人の蜂蜜アレルギー患者を調査した.これらの患者では蜂蜜や蜂蜜を含む食物の摂取後,口腔粘膜の発疹から全身アナフィラキシーショック症状まで各種のアレルギー症状が発現した.患者血清のイムノブロット解析の結果,ヒマワリ蜜の54,60,72
kd タンパク分子あるいは30/33 kdタンパク分子への IgEの結合が認められた.54,60,72 kd
タンパク分子は,ミツバチの頭部抽出物や蜂毒の抽出物によって IgEの結合が阻害されることから,蜂の産生物であることが示された.30/33
kd分子はヒマワリ蜜特有のタンパクであると思われる.蜂毒アレルギー患者からの血清を蜂蜜抽出物で阻害テストを行うと10例中7例に蜂特異的物質へのIgE
の結合が観察された.
これらの結果,蜂蜜中に含まれる花粉のタンパクとミツバチの顎下腺や咽頭の分泌物に由来するタンパクの双方がアレルギーを引き起こすことがわかった.